愛犬と一緒にキャンプに行く際、気を付けなければならないポイントってたくさんありますよね。
しつけも最低限覚えさせておきたいですし、リードの使用や糞尿の処理など他者に迷惑をかけないことや、愛犬が安心して休める場所を確保するといったことも重要です。
そして、絶対に忘れてはいけないのが、「混合ワクチン」や「狂犬病予防接種」について理解しておくことです。
これらを知らなければ様々なリスクが高まってしまったり、法律違反になってしまったりするので、飼い主としてしっかりと理解しておかなければならないことと言えるでしょう。
この記事では、そんな「愛犬とキャンプするときにワクチンや狂犬病予防接種は必要?」について解説していきたいと思います。
混合ワクチンの接種をおすすめするある理由
混合ワクチンは、飼い主が任意で行うもので、犬同士で感染してしまう伝染病を予防することができるワクチンのことを指します。
複数の種類を混合してまとめて注射をするので、「混合ワクチン」と名付けられています。
幼犬の場合には、生後8週以降で1回、その後4週間空けてもう1回(もしくはさらに4週間空けて3回目も)打ちます。
成犬になってからは、1年ごとに接種する流れとなります。
世界では、コアワクチン(犬ジステンバーウイルス、犬アデノウイルス、犬パルボウイルス)については3年目以降は接種間隔を3年に1度にすることがスタンダードとなっています。
日本でも、これまで1年に1回が推奨されていましたが、抗体検査を行い抗体が体内に残っていれば接種をしないといった選択肢を取ることも可能となっています。
コアワクチンの抗体がなければ、重篤な伝染病にかかってしまう可能性も高いので、定期的な混合ワクチンの接種が必要とされています。
ワクチンは5種と8種のどちらがいい?
混合ワクチンを動物病院で打つ際に、「何種を接種するのか?」と獣医師から聞かれます。
基本的に自宅で過ごすことがほとんどで、外出も毎日の散歩程度であれば、前述した3種のコアウイルスの他に、「犬パラインフルエンザウイルス」と「犬伝染性肝炎」のワクチンを含めた「5種」を獣医師からすすめられるはずです。
しかし、キャンプの場合には、様々な生物が生息する自然の中に長時間滞在することになります。
その中には、例えばネズミもいますよね。
ネズミの尿には、レプトスピラ症を発症する菌が含まれています。
山の中や川などにネズミは多く生息しているので、愛犬がキャンプ中にネズミの尿に触れたり舐めてしまったりする可能性もあるのです。
それ以外にも伝染病のリスクはあるため、キャンプに愛犬を連れていく可能性がある家庭では、5種や6種のワクチンよりも8種の混合ワクチンを接種しておいた方が良いと言えるでしょう。
費用面では多少高くつきますが、ワクチンを打たなければ伝染病にかかる確率が大きくUPしてしまうので、愛犬のためにも8種を接種することをおすすめします。
8種混合ワクチンの種類
8種混合ワクチンの種類を挙げておきます。
- 犬ジステンパーウイルス
- 犬パルボウイルス
- 犬パラインフルエンザウイルス
- 犬伝染性肝炎
- 犬アデノウイルス2型
- 犬コロナウイルス
- 犬レプトスピラ(イクテモヘラジー)
- 犬レプトスピラ(カニコーラ)
費用は動物病院にもよりますが、およそ1万円程度となっています。
狂犬病予防接種が必須である理由
狂犬病予防接種の場合は、「キャンプに連れて行くから」といった理由ではなく、「日本で犬を飼うから」といった理由で必ず接種しなければなりません。
日本では、年に1回必ず狂犬病の予防接種を飼い犬に受けさせなければならないと定められているからです。
国内では、1956年に人間の症例が1つ、1957年に動物の症例が1つあるだけで、その後発生していません。
しかし、海外ではまだまだ整備が整っておらず、毎年5万人が狂犬病が原因で亡くなっているとされています。
日本国内で狂犬病の症例を出さないためにも、確実に狂犬病予防接種は毎年受けさせなけらばならないのです。
犬以外にも狂犬病ウイルスは存在する
狂犬病という名前から、犬のみが保有するウイルスのように思えますが、実は犬だけが持っている訳ではありません。
例えばアライグマやキツネ、コウモリなども保有している可能性があるのです。
それゆえに、自然の中で長時間過ごすキャンプでは、野生動物に噛まれないようにすることもとても重要となります。
キャンプに行く際はワクチンの証明書は持っていくべき?
ワクチンや狂犬病予防接種を済ませたけれど、キャンプ場に「証明書を持っていくべきなのだろうか」と悩む飼い主さんも多いですよね。
「わざわざ持っていかなくても大丈夫だろう」
「たぶんそんなこと聞かれないよ」
このように甘く考えてしまう飼い主さんもいますが、キャンプ場によってはしっかりと証明書の提示を義務付けている所もあります。
キャンプ場によっては、コピーや証明書の写真があれば大丈夫という所もありますし、どちらも必要ないという場合もあります。
いずれにせよ、事前にキャンプ場に連絡をして確認しておくようにしましょう。
または、キャンプに愛犬を連れていく際には、必ず証明書を持って行くという風にしてもいいでしょう。
ワクチン接種で気を付けるべきポイント
犬の混合ワクチンや狂犬病予防接種も、人間のワクチン接種と同じように「副作用」が出るケースもあります。
毒素をなくした病原体を体に入れて抗体を作り出すわけですから、副作用が出る可能性はゼロではないのです。
ワクチン接種をする際は、以下のようなことに注意しましょう。
- 体調不良時は接種を控える
- アナフィラキシー反応やアレルギー反応に気を付ける
副作用が出る可能性があるため、体調万全なタイミングで接種させるようにするべきです。
そして接種時に絶対に気をつけて欲しいことは、アナフィラキシーショックです。
ワクチンを接種後そのまま帰宅してしまい、車内や自宅で呼吸困難や嘔吐、尿失禁、便失禁、けいれんなどが起こってしまい、最悪の場合命を落としてしまう可能性があります。
ですから、ワクチン接種した後は30分ほど病院の近くで待機することをおすすめします。
また、数日以内にアレルギー反応が起こることも実は多いです。
アレルギー反応の場合には、顔の腫れや全身のかゆみ、食欲不振、接種部位の腫れなどが起こります。
毎年のことだから大丈夫と安心せずに、いつもより愛犬とふれあい、観察してあげましょう。
こういったリスクをしっかりと理解して、ワクチンを接種して翌日にキャンプに連れていくといったことをしないように心掛けましょう。
最低でも接種後1週間はキャンプなどには連れて行かないようにしたいところです。
ワクチンや狂犬病予防の注射を接種できない場合
過去の接種で副作用やアレルギー反応が出た子や、免疫疾患などの病気がある子などは獣医師の判断により、接種を免除される場合があります。
その際、病院から「ワクチン接種猶予証明書」や「狂犬病予防注射実施猶予証明書」が発行されます。
利用規約にワクチンや狂犬病予防の注射接種の証明書が必要と記載されているキャンプ場でも、これらの証明書を提示すれば利用できると書かれていることが多いです。
といっても、キャンプ場によっては利用できない場合もあるかもしれませんので事前にHPや電話で確認するようにしましょう。
まとめ
今回は、「愛犬とキャンプするとき、ワクチンや狂犬病予防接種は必要?」について解説してきました。
キャンプ場によってはワクチン・狂犬病予防接種証明書どちらも提出しなければ利用できないところもあります。
証明書のコピーや写真の提示でもOKな場合やそもそも提示の必要のないキャンプ場もあります。
いずれにせよ、愛犬をキャンプ場に連れて行くときには、必要の有無を事前にキャンプ場に確認するか、接種証明書を毎回持参するようにしてくださいね。
どちらも提示する必要がない場合でも以下のことを理解しておくようにしましょう。
- キャンプ場には様々な伝染病の原因となる野生動物が近くに存在するため、できれば8種混合ワクチンを事前に接種しておいた方が安心
- 狂犬病予防接種は、キャンプに行く行かないにかかわらず、日本では年に1回の接種が義務となっているので、必ず接種する必要がある
- どちらも接種を免除される場合があり、その際「ワクチン接種猶予証明書」や「狂犬病予防注射実施猶予証明書」が発行される(提示が必要な場合はこちらを持参する)
また、ワクチン・狂犬病予防接種後にはアナフィラキシーショックやアレルギー反応により命が危険にさらされる場合があります。
接種後30分は病院の近くで待機することや数日はしっかりと愛犬の様子を観察することなどを意識しましょう。
接種前後で気をつけることは、体調が万全の状態で接種すること、接種後は数日あけてキャンプの予定を入れることです。
さて最後に。
ワクチン接種は任意ですし、種類もいくつかあります。
ワクチン・狂犬病予防接種は最低限の条件をクリアしていれば、どの選択肢も間違いではないと思います。
信頼できる獣医さんと相談をしながら、その子に合った選択をしてくださいね。
キャンプ場や施設を利用する場合は、その施設が提示する規約を理解して従うことやその場にいる他の子たちのことも考えてどうするのか決めましょう。
その場にいるみんなが、元気に楽しむことのできるキャンプになりますように!