愛犬が熱中症になったことがあるという飼い主さんは、なんと約25%(4人に1人)だそうです。
本プロジェクトでは、2019年7月に全国のイヌの飼い主325名を対象に、「愛犬の熱中症に関する調査」(※)を行いました。調査では、「愛犬の4分の1が熱中症経験あり」(動物病院で診断された/症状がでた/そのどちらも経験の合計)、「飼い主の5人に1人は、愛犬が熱中症にかかった場合の応急処置方法を知らない」などの結果がみられました。これらの結果をふまえて、本プロジェクトでは2020年の夏も引き続きペットの熱中症対策の啓発を行っていきます。
引用:日本気象協会HP
今までそういった経験がないという飼い主さんであっても、実は身近な問題なのです。
特に気を付けるべきは「キャンプ」です。
春から秋にかけて、愛犬を連れてキャンプに行く人もいるかと思いますが、気温が上がる夏場は特に気を付ける必要があります。
この記事では、そんな「キャンプで熱中症になる犬が多い理由と事前にできる予防対策」について解説していきたいと思います。
キャンプで熱中症になる犬が多い理由
せっかく愛犬と一緒にキャンプを楽しめるというのに、途中で愛犬が熱中症で倒れてしまったらキャンプどころではありません。
もしそうなれば途中で帰ったり、病院へ連れて行ってあげたりしなければならないですし、重度の熱中症ともなれば命にかかわってしまいます。
いったいなぜキャンプでは犬の熱中症が多いのでしょうか?
考えられる理由をいくつか挙げてみましょう。
日陰があれば大丈夫だと思ってしまう
キャンプと言ってイメージするのは、大きな木がたくさんあって、近くに川が流れている感じでしょうか。
木があるということは、折り重なった葉っぱが直射日光を防いでくれることになるので、犬も日陰で過ごすことができます。
しかし、キャンプでは大抵1日中屋外で過ごすので、「さっきまで日陰だったところが直射日光が当たるようになっていた」といったことも起こり得るのです。
ドッグアンカーを使い、愛犬がある程度広い範囲に動ける状態ならば、自ら動いて日陰に移動できますが、それほど長くないリードなどに繋がれている場合は、長時間直射日光に当たっている状態となってしまうことも考えられます。
「キャンプ場は日陰が多いから大丈夫」
そんな風に思い込み、注意を怠ってしまうことによって犬が熱中症にかかってしまうのです。
熱中症対策を怠ってしまう
詳しい予防対策は後述しますが、飼い主としてはキャンプ中に愛犬が快適に過ごせるように努力するのは義務であると言えます。
しかし、キャンプ前にはしっかりと準備できていたとしても、実際にキャンプ場に着くとテンションが上がってしまうものです。
家族や友人など複数人で行くとそちらにばかり気を取られてしまうこともあります。
リードを付けて結び付け、水を用意してあげるといった基本的なことは必ず行うかと思いますが、熱中症対策まで頭が回らない可能性が高くなってしまうのです。
日陰で風通りのある場所に愛犬の落ち着けるスペースを作ってあげたり、保冷マットや扇風機といった対策で体温を下げてあげたりといった工夫をし忘れて、愛犬の熱中症になる確率がかなり高くなるのです。
また、愛犬が今どんな状態なのか観察する頻度が減ることで、熱中症の症状が出ているのにその発見が遅れてしまうこともあります。
人間と同じ感覚で判断してしまう
犬を飼ってそれほど期間が経っていなかったり、単純に犬に対する知識が足りていなかったりすると、「人間(自分)と同じ感覚」で判断してしまいがちです。
人間であれば、日陰で水分さえ取れる状況であれば、そこまで熱中症になる確率は高くありませんよね。
しかし、犬は人間よりも圧倒的に暑さに弱い生き物なのです。
なぜならば、「人間のように全身で汗をかいて気化熱によって体を冷やすことができないから」です。
犬にできるのは、パンディング(口呼吸)で熱を下げる方法と、肉球から放熱することくらいです。
暑さに対しては、絶対に人間と同じ感覚で考えてはいけないということは忘れないようにしましょう。
人間と同じ感覚で考えてしまうと、「暑いけど日陰だし大丈夫でしょう」といった思考になってしまいます。
しかし、30℃を超える気温の場合には、犬は体温を下げることができずに熱中症に陥ってしまうのです。
特にキャンプ場では非日常感が味わえるので、犬たちも走り回るなどしていつもより運動量も多くなりがちです。
動けばその分必然的に体温は上がりますから、余計に熱中症のリスクは高まります。
事前にできるキャンプの熱中症予防対策
キャンプでは特に、犬が熱中症にかかる可能性が高いことがお分かりいただけたかと思います。
飼い主さんも愛犬も一緒にキャンプを楽しむためには、快適に過ごせるような熱中症予防対策を行うことが重要なのです。
それでは、いくつかその予防対策を挙げていきましょう。
まずは「犬は暑さに弱い」ということや、「4人に1人の飼い主さんが愛犬の熱中症を経験している」ということを頭の片隅に留めておくようにしましょう。
そうすることで熱中症対策をしようと工夫したり、熱中症に関するさまざまな情報を調べたりするようになり、キャンプ中に熱中症になる確率は大きく下げられるはずです。
おすすめ保冷グッズ3選
日陰で過ごさせたり、風通しの良い場所に繋いだりすることも重要ですが、それだけでは対策としては不十分なケースもあります。
それゆえに、愛犬の体温を下げることができる「保冷グッズ」を用意し、気温の上がる10時から16時くらいまでの時間に使用するのもおすすめです。
例えば、以下に示すものを利用するのはいかがでしょうか。
- 扇風機
- 保冷マット
- 冷却タオルや冷却バンダナ
扇風機
ポータブル電源があれば、キャンプ場でも扇風機が使えます。(もしくは電源サイトを予約する)
扇風機の風が愛犬に当たるようにするだけで、犬の体温はかなり抑えられます。
保冷マット
食材を冷やす保冷剤を入れたBOXに保冷マットを入れておけば、暑い時間帯に愛犬がくつろいでいる場所に敷くことができます。
1つだけではすぐに温まってしまうので、2つは持っていき、交互に使った法が良いでしょう。(もう1つはBOX内で冷やす)
保冷マットは愛犬が休憩している間に、足の付け根など太い血管が走っている部位を冷やし体温を効率よく下げてくれますよ。
冷却タオルや冷却バンダナ
タオルやバンダナは愛犬の首に巻くことができます。
こちらも首には太い血管が通っているので、保冷マット同様効率よく体温を下げることができます。
また、デザインの可愛いものを購入しておしゃれアイテムとしても活用できるので一石二鳥ですよ。
このように、意外とキャンプで使える保冷グッズはたくさん存在するので、必ず何かしらは用意してあげましょう。
もしも愛犬が熱中症になってしまったら?
しっかりと熱中症の予防対策を行っていれば、かなりそのリスクを軽減できますが、絶対に防げるわけではありません。
近年の暑さは異常なので、軽度の熱中症に陥ってしまうこともあり得ます。
もしも愛犬が熱中症になってしまったときに慌てず対応できるよう、応急処置の方法を知っておきましょう。
また、間違いやすい応急処置の方法もあるので必ず目を通すようにしてくださいね。
応急処置の方法
そんな時には、応急処置を行わなければなりません。
まずは日陰に抱っこして連れて行き、常温の水道水などで濡らしたタオルで全身を包んであげます。
これだけでも体温を一気に下げることができます。
効率よく体温を下げる方法としては、首や脇の下、そけい部(後ろ足の付け根の内側)に常温の水道水などで冷やしたタオルで冷やすことや、うちわや扇風機などを使って体にこもった熱をとってあげるなどがあります。
熱中症の治療が遅くなれば、死の危険もあります。
熱中症が疑われた場合は、早急に治療するために病院へ連れて行きましょう。
冷やしすぎると逆効果に
愛犬の呼吸が荒くなったり、よだれを垂らしてぐったりとしてたりする様子を見るとパニックになってしまう飼い主さんは多いのではないかと思います。
そうなってしまうと、”早く体を冷やさなくては”と思い、保冷剤や氷を脇の下やそけい部に当ててしまうことがあります。
しかし、それは逆効果で深部体温が下がらなくなってしまう方法なのです。
すぐに冷やしてあげたいという気持ちが逆に働いてしまうなんて悲しいことは、なんとしてでも避けてほしいです。
急激な冷却ではなく、常温の水道水などを使用するようにしましょう。
まとめ
今回は、「キャンプで熱中症になる犬が多い理由と事前にできる予防対策」について解説してきました。
夏キャンプで犬が熱中症にかかりやすいのには、これらの理由が挙げられます。
- 日陰があるから大丈夫だと思ってしまう
- 熱中症対策を怠ってしまう
- 人間と同じ感覚で判断してしまう
もしも熱中症になってしまったら、まずは日陰に連れて行って常温の水を含ませたタオルで包んであげましょう。
さらに、大きな血管のある首や脇の下、そけい部(後ろ足の付け根の内側)を冷やすことや、うちわや扇風機などを使って体にこもった熱をとってあげるようにしましょう。
逆効果になるので、保冷剤や氷、冷水を直接当てるなどの急な冷却は避けてください。
犬は暑さに弱いということを理解し、保冷グッズなどを積極的に活用しながら愛犬の安全を確保するようにしてキャンプを楽しみましょう!