
この記事では、これから登山を始めたいと思っている方に向けて、登山におけるルールやマナーのことをわかりやすく解説しています。
YouTubeと連動しているので、動画で見たい方は下記の動画をどうぞ!
登山におけるルールやマナー

今回のテーマは、
『山では暗黙の了解?!ルールやマナーについて知ろう』だよ。
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山にもルールやマナーがあるんだね!

安全で気持ちの良い登山を楽しむために、一人一人がルールとマナーを守って行動することが大切だよ。
今回の内容は以下の通り。
- 登山でのルールやマナー 〜準備編〜
- 緊急時用としてだけでなく、ルートなどを再度確認する意味でも登山届を提出すること。
- 登山でのルールやマナー〜行動編〜
- 他の登山者への配慮
- すれ違いの挨拶など、他の登山者とコミニュケーションをとりながら思いやりのある登山を。
- 急な岩場や鎖場では落石を発生させない。
- 自然環境への配慮
- ゴミは自分で必ず持ち帰り、登山道以外の場所は歩かない。
- 山の植物を持ち帰ったり、逆に外から持ち込んでしまうことの無いよう、その山固有の自然環境維持に配慮する。
- 野生動物に餌付けは絶対にせず、近づかずに見守る程度にする。
- 万が一に備え携帯トイレを持ち歩き、 山のトイレを利用したらチップに協力する。
- 他の登山者への配慮

登山でのルールやマナーを、準備編と行動編に分けてお伝えしていくよ。山に行ってしまってから、そんなの知らなかった、なんてことが起こらないように、初心者に特に知っておいて欲しいことを中心に解説します。
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はい、お願いします!
登山のルールとマナー 〜準備編〜

では、まずは準備編。
イヌくん、登山届って知ってるかな?

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あ、登山の計画を書く紙とポストが登山口にあるの、みたことあるなぁ!何かあった時に連絡先とかわかるようにするためって聞いたことある。
でも、登山届ってどの山でも絶対に出さないといけないの?

イヌくん、山に登る時はどこでも絶対に登山届を出さないとダメ、というわけではないよ。けど、山岳事故の多いエリアなど自治体によっては、提出を義務化していることもある。
そもそも、よく考えると登山届を出すことは、自分にとってメリットだらけなんだ。
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そうなんだ!
登山届って具体的にどんなものなの?

登山届に記入する主な内容は、大まかに以下の通り。
- 住所
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 電話番号
- 同行者の情報
- 緊急連絡先
- 行先や辿るルート
- 入山日時
- 下山予定日時
- 携行品
- 食料の量 など
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へー!かなり詳しく記入するんだね。

うん、万が一遭難して捜索が必要となった時に、登山届は大切な手がかりとなるからね。
登山届が出ていなかったことによって捜索が遅れ、結果助けることができなかった例はたくさんあるんだ。
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広い山の中を探すのは簡単なことではないもんね。自分のためだけでなく、万が一の時に救助をしてくれる人たちのためにも、登山届は必須だね。

うん。
登山届は登山口に設置された紙に書いてポストに入れる方法以外にも、インターネット上でも簡単に作成・提出ができるよ。
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そうなんだ!スムーズに登山を開始できるし、便利だね。

また、計画を記入しながら行程を再確認できるので、当日のコースの理解を深める良い機会にもなる。
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本当だ!
忘れ物がないかチェックもできるし、そういう意味でも、登山届って提出しない理由ってないね!

そうだよ。
特に慣れてきた頃に「何度も行っているし、これぐらいの山なら大丈夫」と慢心し、未提出のまま登っていくケースが多いから、くれぐれもそうならないようにしてね。
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はい、わかりました!

これは何回も伝えていることだけれど、しっかりと計画を立て、自分にあった無理のない登山を心がけること、これが何より大切だと言えるよ。
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そうだね!その言葉、忘れないように肝に銘じておきます!
登山のルールとマナー 〜行動編〜

では、次に登山のルールやマナーの、行動編について解説していくよ。大きく分けると、他の登山者への配慮と自然環境への配慮の2パターンに分かれる。
他の登山者への配慮

まずは、他の登山者への配慮の観点からお話ししていくよ。
山では知らない人にも挨拶をすることが、当たり前だよね。
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あ、山ではみんなすれ違う時に「こんにちは〜」って言うよね!
街の中ではありえないから、最初はびっくりしたけど、あれってなんか気持ちいいよね!

そうだね。
山での挨拶は、挨拶から一言二言と会話が生まれるきっかけになって、登山の思い出をより濃いものにしてくれる意味もある。
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なんだか一人で登っていても、寂しくないよね!

また、すれ違う人にその先の道がどんな感じだったか確認することで、情報交換もできる。
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ほんとだね!今通ってきたわけだから、最新の状況を確認できるしね。

他にも、誰かが道に迷ったり滑落してしまった可能性がある場合などに、一言の挨拶によって相手に記憶を残し、捜索時に貴重な目撃情報として役に立つことがある。
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そっか、単なるコミュニケーションという意味だけでなく、何かあった時の情報源としても挨拶って大事なんだね。

うん。
あと、すれ違い時は挨拶だけでなくもう一つ心掛けて欲しいことがあって、幅の狭い登山道では登山道の脇に寄ってすれ違うと思うけど、譲る時は、谷側でなく山側に避けて欲しい。
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そうなんだ、初めて聞いた!

狭い登山道ではすれ違い時に谷側に立っていると、相手のザックなどが当たってよろけ、転落の危険がある。
事故を防ぐためにも、なるべく山側に避けるように心掛けてね。
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はい!

また、原則登り優先ということも覚えておいて。
常に足元を注視する登山では、下りの方が登ってくる人に気付きやすいし、登りよりも下りの方が転倒のリスクが高いので、安全にすれ違うためにも、下りの人が立ち止まってスペースを確保するようにしてね。
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そんな決まりがあったんだ!

もちろん、このルールに囚われすぎず、臨機応変に対応することも大切だよ。
例えば団体ツアー客など大人数のグループとすれ違う時や、はしごやロープの通過途中など、その限りではない場面だってもちろんある。
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そうだね、登りが苦手でゆっくりいきたい場合だってあるし!

状況によって、「先にどうぞ」など声を掛け合って、うまくコミュニケーションを取ることが大切だよ。
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そうだね!思いやりの心、大事!

それと、高山帯の急な岩場や鎖場を登るときは、落石を起こさないことにも気をつけて。
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落石!下に人がいて、当たったら大変だ!

小さな石でも、斜度によっては弾丸のようになりうるし、直撃すると即死ということもある。
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・・・え!
自分が落とした石が誰かにぶつかって、万が一のことになったら・・・想像しただけでゾッとする・・・

そうならないためにも、浮石を踏まないように歩くなど、落石を起こさない歩き方をすることが大切。
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自分が落としたことに気づかないことだってありそうだ・・・
気をつけないと。

また逆の立場の場合も、岩場などではある程度間隔を空けて登ったり、ヘルメットを被るなど、対策はするようにね。
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ヘルメットって、こけた時に頭を守るためだと思ってたけど、落石対策でもあるんだ!

うん、落石での死亡事故は毎年のように発生しているから、くれぐれも気をつけて。
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はい!!
- 山での挨拶は単なるコミュニケーションというだけでなく、情報交換や遭難時の捜索の手がかりを生みやすくするという意味もある。
- 転落の危険を回避するために、すれ違い時は谷側でなく山側に避ける。
- 登山では登りより下りの方が転倒のリスクが高いため、原則登り優先。※ただし、大人数のグループとのすれ違い時や、はしごや鎖場などの危険な箇所でのすれ違い時など、例外もある。
- 岩場などでは、落石を起こさない歩き方を心がけること。また、ヘルメットを被ったり前の人と間隔を開けるなど、落石から自分の身を守る対策も忘れずに行うこと。
自然環境に対する配慮

では、次は自然環境に対する配慮について。
当たり前のことだけど、ゴミは必ず持ち帰ること。
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山でも街でも、基本中の基本だ!

特に小さな飴の外袋などは、気づかないうちに落としてしまうことだってよくあるから、ポケットではなくポーチにしまうなど、工夫をしてね。
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きれいな山を維持するためにも、一人一人が意識することが大切だね!

ペットボトルではなく、繰り返し使えるボトルにしたり、お菓子の外袋はなるべく外して持ってくるなど、最初からゴミになるものを持ち込まないように心がけることも大事。
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山ではゴミと命は落としてはいけない、そんなことを誰か言ってたな〜!

お、イヌくん・・・
もしかして、『岳』読んだ??
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へへへ!(得意げ)

・・・話がそれたけど、他にもまだまだあるよ。

山では、決められた登山道から外れて歩かないこと。登山道の脇にはその山固有の貴重な高山植物が自生していることだってある。無闇に踏みつけたりしないように、配慮してね。
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すれ違いの時なんかは気をつけないとね。

また、きれいなお花が咲いているからって、くれぐれも摘み取って持ち帰るなんて事のないように。
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写真におさめて楽しめばいいよね。

逆に、山に下界の植物の種を持ち込まないことも重要。登山前は、靴裏などをよくはらってから登ってね。
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山の景観を守るためにも、大切なことだ。

次に、野生の動物には食べ物を与えないこと。

最近、野生のイノシシが街に下りてきて、農作物やゴミを漁る被害が多発している。その原因は山に食べるものがないから、と思うかもしれないけれど、実は人間による餌付けによって、イノシシが人の食べ物の味を覚えたり、人間を恐れなくなった結果とも言える。
実際に、六甲山の周辺ではイノシシの目撃が非常に多く、彼らは皆とても人馴れしている。そして、食べ物を求めて荷物に噛み付いたり、突進される被害も多発しているんだ。
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こわいな!でも、餌付けが原因だとしたら、人間の自業自得だ・・・

そうだね。
だから、人間と動物がちゃんと棲み分けするためにも、もし野生動物を見つけても、決して近づかずにそっと見守る程度にするべき。
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そうだね!

他に、よく勘違いをしている人がいる、山のトイレ問題。
もしトイレのない山の中で急にもよおしたとしても、土の微生物が分解してくれるから環境破壊にはならない、と思っている人がよくいる。
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えっ、違うの??

比較的標高の低い地帯ではその考えは当てはまるかもしれないけれど、高山帯となると、地中の微生物の働きが弱く、なかなか分解は進まない。
つまりその行為は、ただ山を汚していることになる。
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えー、そうだったんだ・・・!

極力我慢をすることが大切だけれど、そうともいかない時のために、携帯トイレを持っておくことはとっても大事。

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自分が出したものを持ち歩くのって結構抵抗があるけど、山を汚しているって考えたらゴミのポイ捨てをしてるのと同じだよね。
ボクはお腹が弱いし、万が一に備えて携帯トイレは絶対必要だ・・・

携帯トイレはしっかりとした作りだから、中身や臭いが漏れてきたりすることもないよ。
また携帯トイレ自体は軽いし嵩張るものでもないから、自然環境を守るためにもザックに一つ入れておくのがマナーだね。
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そうだね!持っておくようにします!

ちなみに、山の中に設置されたトイレは多くがチップ制。1回100円などと書かれた箱が設置されているから、山のルールとして、使ったら入れるようにしてね。
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山の上のトイレ、作るのも大変だろうけど、出したものって一体どうなるんだろう・・・?

多くはバイオ式トイレで分解し綺麗にしてから山に戻したり、汲み取り式トイレであることが多いよ。
汲み取り式の場合、ヘリコプターで下ろせればいいけど、設置場所によってはそうもいかないことがある。そういう時は、誰かが担いで徒歩で降ろしているということ。
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え、トイレのタンクを!?本当に頭が下がります・・・

そういう意味でもトイレの設置や維持は大変なことなんだ。
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そのためのチップ制か!
マナーを守って綺麗に使わないとね!

ちなみに、トイレットペーパーは便器に流さずゴミ箱へ入れるなど、下界とは異なる使い方の場合もあるから、正しく使うようにね。
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はい!わかりました!
- ゴミは必ず持ち帰ること。
- 貴重な高山植物などを守るために、登山道からは外れて歩かないこと。
- その山固有の植物を持ち帰ることはしない。また逆に持ち込んでしまわないよう、入山時に気を付ける。
- 動物が人を恐れなくなったり、農作物を漁る被害の原因にも繋がるので、絶対に野生動物に餌付けをしないこと。
- 万が一の場合に備えて、携帯トイレを持ち歩くようにすること。標高によっては微生物は排泄物を分解できないことがある。また、山のトイレは設置や維持に多くの費用がかかるため、利用したらチップに協力すること。
まとめ

では、イヌくん。
登山におけるルールやマナーをについては、以上だよ。
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山特有のルールやマナーにも、深い意味があったこと、勉強になりました!

今回の内容をまとめると、以下の通り。
- 登山でのルールやマナー 〜準備編〜
- 緊急時用としてだけでなく、ルートなどを再度確認する意味でも登山届を提出すること。
- 登山でのルールやマナー〜行動編〜
- 他の登山者への配慮
- すれ違いの挨拶など、他の登山者とコミニュケーションをとりながら思いやりのある登山を。
- 急な岩場や鎖場では落石を発生させない。
- 自然環境への配慮
- ゴミは自分で必ず持ち帰り、登山道以外の場所は歩かない。
- 山の植物を持ち帰ったり、逆に外から持ち込んでしまうことの無いよう、その山固有の自然環境維持に配慮する。
- 野生動物に餌付けは絶対にせず、近づかずに見守る程度にする。
- 万が一に備え携帯トイレを持ち歩き、 山のトイレを利用したらチップに協力する。
- 他の登山者への配慮

これらのことに特に気をつけて、誰もが安全で気持ちの良い登山を楽しめるように、一人一人が意識をすることが大切だと言えるよ。
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そうだね。
登山では他の人への思いやりと、自然への思いやりが大切なこと、よくわかりました。

次回は登山におけるトラブルについてお話しするよ。
山で遭難しないための予防法や、万が一の時の対処法などを、山で起こりうるトラブルの事例別に解説していきます。
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遭難・・・
事前に防ぐ方法があるなら知っておかなくちゃ!

では、今日はここまで。
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ありがとうございました!