
この記事では、これから登山を始めたいと思っている方に向けて、疲れにくい正しい歩き方についてわかりやすく解説しています。
YouTubeと連動しているので、動画で見たい方は下記の動画をどうぞ!

イヌくん、今回は山の歩き方について。
実は山を登るときは、ただただ歩くだけではなく、足の運び方などを少し意識するだけでも、疲労度がかなり違ってくるんだ。
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山特有の歩き方があるんだね!

今回の内容は以下の通り。
- 登山での基本の歩き方と姿勢について
- 登りで特に意識して欲しいこと
- 下りで特に意識して欲しいこと
- 状況に応じた歩き方
- 浮石、階段、はしご、鎖場・ロープ
- 適切な休憩の取り方

初心者がやってしまいがちな歩き方も挙げながら、実際に山を歩く時に、是非心がけてほしいことを具体的に説明していくよ。
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登り方にもコツがあるんだね!
疲れにくい歩き方があるのなら、知っておくに越したことはない!

うん、はしごや鎖場などを安全に通過するための、歩き方のポイントも解説するので参考にしてね。
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はい!

それと、歩くことと休憩の取り方はセットで考えて欲しいので、その辺りについてもお伝えするよ。
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お願いします!
登山での基本の歩き方と姿勢について

ではまず、山を歩く時の基本的な歩き方について。
登山の歩き方の基本はズバリこれ。
登山では、大股ではなく小股で、一定のペースを保ちながら、丁寧にゆっくりと歩くこと。

・・・ほう。
どうしてこの歩き方がいいの?

山で街中と同じようなペースや歩き方だと、足の筋肉に掛かる負担が増え、心拍数が上がりすぐに息が上がってしまう。そうなると、歩くこと自体が苦になってくるよね。
長い時間をかけて歩く登山では、なるべく足への負担が少ない方法で歩くことが大切だよ。
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へー!
具体的には、どんな風に登るのがいいの?
フラット歩行

登山ではフラット歩行を心がけることが大切だよ。

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フラット歩行?

登山に慣れないうちは、登りは爪先から、下りはかかとから着地する歩き方をしてしまいがち。しかしこれでは地面と靴底が接する面が少なくなり安定しないため、スリップしやすかったり、脚の筋肉への負担が大きくなってしまう。
フラット歩行というのは、足裏全体が地面に平行に接地するように歩くこと。登り坂ではかかとから、下り坂は爪先から着地することを意識すると、自然と足裏全体が地面に着くような歩き方になる。
そうすると、靴裏の摩擦力が高まり安定性が増し、脚の筋肉の負担も軽減できるんだ。
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山登りでは足裏全体を地面につけることが大切なんだね!
知らなかった!

うん、そのためにも小股で、一歩一歩丁寧にゆっくり歩くことが大切なんだ。
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なるほど!
登山時の姿勢

また、歩く時の姿勢も大切。


基本は頭から背中をまっすぐに起こし、体幹を意識して歩くこと。
猫背の姿勢となってしまうと、上半身や荷物の重さを背骨で支えることになり、腰への負担が大きくなってしまう。特に下りの場面で猫背の姿勢になってしまうと、必要以上にスピードが出てしまい、脚への衝撃の強い下り方になってしまうんだ。
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そっか、下りはただでさえ体重や荷物の重さが脚にかかりやすいしね!上半身はまっすぐ起こして歩くこと、意識しないと!

ちなみに、登りで重い荷物を背負っている場合は、荷物の重さ程度は前に前傾して歩いてもOK。無理に体を起こして、荷物に引っ張られて後ろに倒れないようにバランスをとってね。
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わかりました!
登りで特に意識して欲しいこと

では、ここからは登りと下りの場面に分けて、解説していくよ。
まずは登りから。


大きな岩や、木の根っこなど段差が大きい箇所を登る時に意識してほしいのは、少し歩数が増えても、足を大きく開いて登らなくて済むように、小股で歩くこと。
例えば、このような道を通過する時。


赤い矢印の方を進めば、一歩で跨げるので、大股で登ってしまいたくなるかもしれないけれど、疲れにくい歩き方という視点でいくと、多少歩数は増えるかもしれないが、小股で登ることのできる青い矢印の方が良いと言える。
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なるほど。

なので、このような急な斜面がしばらく続くような道でも、まっすぐに直登するのではなく、ジグザグになるべく小股で進んでいく方が足の負担も少なく登ることができると言えるよ。
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そっか、歩数を少なくして早く登る方がいいような気がしてたけど、逆なんだね。

うん。
特に初めてのうちは登山の脚の筋肉が出来上がっていないから、負担の大きい歩き方は避けた方が良いんだ。
また、急な斜面では、足を少しガニ股気味にして歩くと、ふくらはぎの筋肉の負担が少し減り、楽に歩くことができるよ。


そうだったんだ!勉強になる・・・!
下りで特に意識して欲しいこと

では、次は下りの場面。


登山ではどちらかというと、下りの場面で足を痛めたり転倒するリスクが高い。正しい下り方を意識するだけで、膝への負担が大きく変わってくると言える。
まだ山歩きに慣れていないうちは、ついドスっとした着地の衝撃で膝に負担のかかる下り方をやってしまいがち。街中の階段を降りるように勢いに任せて山を下ると、すぐに膝がやられてしまうんだ。
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前に、下りは荷物の重さや体重が登りよりも脚にかかるって言ってたよね!膝が笑ってガクガクしちゃ、まともに歩けないし困る!

うん、登山は膝のクッションを意識して歩くことが大切。


先ほど説明したように、かかとからではなく、爪先から降りるようなイメージで、足裏全体を同時に地面につけるようにし、前屈みにならないようなるべく腰を落とし、まっすぐと上半身を起こした状態を意識する。こうするだけで、あとの疲れ方が随分変わってくると思うよ。
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なるほど!

下りは、登りと比べて息も上がりにくいから、あとは下るだけだと思うと、ついついスピードを出してドスドスと下ってしまいがちなんだ。
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登山の後、何日も筋肉痛になったりするのは、もう勘弁・・・

そのためにも、今述べたことを意識し、丁寧な歩き方を心がけてね。
場面に応じた歩き方

では、ここからはさまざまな場面に応じた歩き方を解説していくよ。
浮石の多い道


特に、ガレ場と呼ばれる岩の多い道を歩く時に気をつけたいのが、浮石。浮石とは、足を乗せるとガタガタと動く石のこと。
浮石を踏んでしまうと、落石や転倒するリスクがあるのはもちろん、転倒しないにしても、浮石を踏むたびに体の重心がブレるので、その度に脚に余計な力が入り、必要以上に疲れてしまうんだ。
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なるほど、浮石ってぱっと見てすぐにわかるの?

浮石かどうかを歩きながら瞬時に判別するのは難しいかもしれないけど、何度も登山を重ねていくと、『この石は浮石っぽい』という感覚が養われていくはず。転倒すると危険な場面などでは、注意しながら歩くことが大切だよ。
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なるほど!
階段

あと、山によっては登山道に階段が多く設置されている場合がある。


パッとみた時に足を乗せる位置がわかるので、歩きやすく思えるかもしれない。けど、階段と同じ歩幅で歩き続けていると、無意識のうちに大股になっていて疲れやすかったりもする。階段を歩くときは、意識的に踏み込む足を入れ替えて負担を分散したり、幅の広い階段ではあえて小刻みに歩くようにすることが、疲れにくくするためのコツかな。


また、段差が大きい箇所は、そのまま登ると体に負荷がかかりやすいので、端の方を歩くなど、なるべく小股で登れないか足を乗せる位置を少し考えてみて。
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なるほど。小股で歩く意識を常に頭に置いておかないとね!
両手両足を使うような急な箇所

あとは、脚だけでなく、腕の支えも必要となるような急な斜面を通過するとき。


この時に是非意識して欲しいことは、三点支持。
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三点支持?

三点支持というのは、両手両足の4点のうち3点は固定し体を支え、残りの1点だけを動かして手がかりや足掛かりを探すようにすること。こうすることで、安定して体を移動させることができる。
これは、ロッククライミングでの基本の姿勢だよ。
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へー、登山にも使えるんだ!

三点支持の姿勢でも意識して欲しいことは同じで、あまり遠くに足や手をかけようとはせずに、小刻みに進むこと。
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なるほど。


ちなみに下りの時も『三点支持で小刻みに進む』のは同じだけれど、場合によっては、後ろ向きの姿勢になったり、腰を落として進む方がバランスがとりやすいこともあるから、臨機応変にね。
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わかりました!
はしご

また、はしごの通過時も同じだよ。


特に高度感がある場所のはしごは、怖さではしごにしがみつくような姿勢となり、腰がひけてしまうことが多い。こうなると、とても重心がずれてバランスが悪くなり、逆に危険。
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写真で見るだけでも怖い・・・

正しい姿勢は、はしごから体を離して、足の爪先にしっかり重心が乗るようにすること。そして、三点支持を意識しながら、ゆっくり手足を動かし進む。こうすると、はしごも安定して通過できるよ。
ちなみに、手をかける場所ははしごの縦の棒ではなく横棒の方が安定するよ。
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そうなんだ。
鎖場

次は鎖場を通過するとき。


慣れないうちは、鎖やロープが出てくると、ついついがっしり掴んで腕に力を入れて登ろうとしてしまう。しかし、この状態ではバランスがとても悪く、危険。
腕の力だけで登ろうとはせずに、しっかりと体を起こす。そして、鎖やロープはあくまでも補助的に捕まる程度にし、基本的には足の力で登るようにね。
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なるほど!
鎖やロープを頼りすぎないことが大切なんだね!

うん。鎖場やはしごは、怖くて苦手意識がある人も多いかもしれないけど、低い山でもしばしば出てくるもの。
正しい姿勢で安定して通過できるようになれれば、逆にスリリングで楽しく思えてきたり、自信に繋がってくるはずだから、今日話したことを意識して、ぜひ挑戦してみてね。
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わかりました!
適切な休憩の取り方

では、最後に休憩の取り方について。
長時間歩き続け、エネルギーをたくさん消費する登山では、休憩の取り方にも少しポイントがあるよ。
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単に疲れたら休めば良いってわけじゃないの?

登山では、疲れ切る前に休憩を取ることが大切。何分歩いたら何分休憩、という人もいるかもしれないけれど、体力度は人それぞれであるし、気候やその山によっても変わるので、一概には当てはまらないと思う。
ゆっくりとしたペースであれば、ほとんど休憩を取らなくても大丈夫という人もいるし、逆にこまめに休憩を取りたい人だってもちろんいるはず。私は、自分が休みたいと思った時に休むのが一番いいと思うよ。
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ボクなんかはちょっと坂道が続くとすぐ息が上がっちゃって、一歩歩くたびに休みたくなっちゃうよ・・・。

イヌくん、その状態じゃほとんどバテてるね。
ここで大事なのは、自分なりのペースを掴む、ということ。息が上がらずに安定して登れるペースで歩き、少し疲れたと感じるようなら、ちょっと休憩をする。
疲れ切ってバテてしまう前にこまめに休むようにすれば、安定して登れるようになってくるはず。
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ボク、ペースとか全然考えずに登ってた・・・

ちなみに登山開始直後は、体が温まっていないので、息が上がりやすい。開始30分ぐらいは、意識的にゆっくりと歩くようにするのがいいと思うよ。そして、途中で休憩を取るときは長く取りすぎないこと。
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せっかく温まってきた筋肉が、また冷えて硬くなってちゃうもんね!

そうだね。だから山頂や昼食時以外の小休憩は、5〜10分程度に短めにするようにね。また休憩するときは服装の調節や水分補給や行動食の摂取なども意識的に行うようにね。
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なるほど!
水を飲むぐらいだったら、ザックを下ろさずに、立ったままでいいね。

うん、休憩とは関係なく水分はこまめに摂取して、飴やチョコなどの行動食もさっと食べられるように、取り出しやすいところに入れておくといいよ。
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なるほど!
疲れにくく歩くためには、休憩の取り方にもポイントがあること、よくわかりました!
まとめ

イヌくん、今回の内容はこれで以上だよ。
要点をまとめると、以下の通り。
- 登山の歩き方は『小股で一定のペースを保ちながら、ゆっくりと丁寧に歩く』が基本。
- 足裏を地面と並行につけるフラット歩行を意識し、上体は前屈みにならないようにしっかり起こして歩く。
- 下りは特に足を痛めやすいので、スピードが出過ぎないよう意識的に丁寧に歩く。
- 両手両足を使うような急な箇所やはしごでは、三点支持の安定した姿勢で移動する。
- 鎖やロープは補助程度に掴むようにし、基本的には足の力で登る。
- 自分なりのペースを掴んだ上で、疲れ切ってしまう前に5〜10分程度の休憩をこまめに取ること。
- 休憩に関わらず、服装の調節・水分補給・行動食の摂取は意識的に行うこと。

以上が、山の歩き方として是非知っておいて欲しいことだよ。
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ただ歩いたり休むわけではないってことだね!
山の歩き方、詳しく知れてよかったです!

では、これで全ての初心者向け登山講座はおしまい。
0〜11話の内容が、これから登山を始めたいと思っている人のために、少しでも役に立っていたら幸いです。
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初心者のボクは知らないことだらけで、登山を本格的に始める前に知れてよかった!
これから道具を揃えたり、実際に山に行くのが楽しみだ!

では、最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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ありがとうございました!